振袖の文様や柄には意味がある!?成人式にふさわしいのはどれ?
二十歳になったお祝いに、両親から振袖を贈られる方も多いのではないでしょうか?呉服屋さんに行くと、多彩な柄に目を奪われて決められないかもしれません。実は、振袖の文様や柄には、それぞれ幸せや発展を願う意味が込められています。今回は、成人式にふさわしい振袖の文様や柄に込められた意味について解説しましょう。
振袖の文様や柄に込められた意味とは
色鮮やかで華やかな雰囲気のある振袖。大人の未婚女性が着用する和装の中で、もっとも格式の高いものです。繊細で美しい文様や柄には、長寿や繫栄、平和などの願いが込められています。ここでは、それぞれに込められた意味を紹介しましょう。
松竹梅
めでたさの象徴として、振袖でも人気です。苦難を乗り越え花開く姿から、力強い生命力を表しています。
手毬
女性らしさを象徴する柄です。丸い形から「万事まるくおさまるように」との願いが込められています。また、魔除けの意味もあります。
桜
門出を祝うのにピッタリな桜。桜の木には五穀豊穣の神が宿るとされており、豊かさの象徴です。
バラ
バラは色によって意味が違います。赤バラは愛情、白バラは純潔、ピンクバラはしとやかさを意味します。
御所車
平安時代の貴族が乗っていた御所車は華やかさの象徴です。また御所車にたくさん花が飾られている「花車」という柄もあり、幸せに溢れますようにとの願いが込められています。
扇
扇は末広がりになっている形から、開運や金運など縁起のいいものとされてきました。また、扇を仰ぐ仕草が悪いものを遠ざけ福を招くともいわれています。
牡丹
大きな花弁が華やかな牡丹は、富貴や豪華という意味があります。花の大きさに反して蕾は小さめなことから「今は小さくてもやがて大きく花開く」という希望も込められています。
流水文様
水が流れる様子を表した流水文様は、災いや疫病を洗い流すという意味が込められています。また、水は清らかで美しいものの象徴でもあります。
蝶
可憐で美しい蝶の柄は女性らしい柄として好まれています。卵から幼虫、さなぎ、成虫へと変貌を遂げていく蝶の様子から、立身出世を表しています。
振袖の柄は大きく3タイプに分けられる
振袖の柄は、伝統的なものから現代的なものまで幅広く、大きく分けて3タイプあります。それぞれの柄のタイプをご紹介します。
古典柄
古典柄は、いわゆる「日本の着物」といわれてイメージされる定番の柄のことです。オーソドックスですが、それゆえに流行りすたりがなく今も昔も愛されている柄だといえるでしょう。たとえば桜、牡丹、藤、鶴、扇、鳥や蝶などの柄が一般的で、正統派でありながら華やかな印象があります。
新古典柄
新古典柄は、古典柄の要素を残しつつ今風の流行りも織り込んだ柄のことをいいます。古典柄がしっとりと落ち着いた雰囲気なら、新古典柄はポップで若々しい印象。地の色に対して裾の色が違うグラデーションになっているのが特徴です。
モダン柄
モダン柄は、古典柄の要素をできる限り排除した現代的なデザインになっています。古典柄が普遍的なデザインなのに対して、モダン柄はそのときどきの流行を取り入れているのが特徴です。柄は、バラや蝶、ハート、幾何学模様など個性的なものが多い傾向にあります。
成人式の振袖にピッタリの柄
着物には、昔からお祝いごとにはピッタリな縁起のいい柄がたくさんありました。ここでは、成人式にも最適な吉祥文様と有職文様について解説します。
吉祥文様
吉祥文様は、古くからおめでたい柄として着物だけでなく、日用品や工芸品にも使用されてきた伝統的な文様です。吉祥文様は大陸から伝わってきたため、最初は龍や鳳凰、四君子など中国色の濃い柄が多くありました。それが平安に入った頃から、日本独自の柄も増えてきて藤や橘、扇など日本らしいデザインのものが登場してきたのです。
さらに鎌倉時代になると、武家の間でもたくさんの図案が考案されました。今では数十種類もの柄がある吉祥文様ですが、ここでは代表的な文様と意味をご紹介します。
・麻の葉文様
麻は成長の早い植物であることから「成長」「健康」を意味し、魔除けとしても使われます。
・紗綾形(さやがた)文様
家の繁栄や長寿が未来永劫続きますようにという不断長久という意味があります。
・青海波(せいがいは)文様
どこまでも続く穏やかな波をイメージして、未来永劫穏やかに暮らしていけますようにという願いがこめられています。
有職文様
有職文様は、平安時代の貴族が十二単や調度品に好んで愛用していた柄です。現代でも礼装として使われることが多く、雅で格式が高く縁起のいい柄は、成人式にもピッタリでしょう。ここでは代表的な柄と文様を紹介します。
・七宝
円が四方八方に広がることから、人と人とのつながりをあらわしています。
・亀甲
亀は長寿の象徴ですので、長生きできますようにとの願いが込められています。
・花菱文
平安時代は一部の位の高い人のみ使用が許されていなかったことから、高貴、上品という意味があります。
以上、成人式にふさわしい文様や柄の意味について解説しました。振袖はただ美しいだけではなくて、ひとつひとつの柄にも意味や願いがこめられています。お気に入りのデザインに注目して選ぶのも楽しみのひとつですが、柄の意味を知ることでまた違った楽しみ方ができるでしょう。ぜひ振袖の柄の意味もチェックしつつ、自分にぴったりな一枚を見つけてください。